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藤井聡太七冠は、近年の将棋界で最も注目される存在となっています。若干17歳11か月で初のタイトル「棋聖」を獲得し、その後も「王位」「叡王」「竜王」「王将」「棋王」といったタイトルを次々と手中にしてきました。彼の急速な出世と圧倒的な実力は、多くの将棋ファンや一般の人々を魅了しています。
しかし、彼の成功の背後には、一つの大きな疑問が浮かび上がってきます。
それは、彼にとっての真の「ライバル」がいるのか、ということ。過去の偉大な棋士たちは、同世代のライバルとの切磋琢磨を通じて、さらなる高みを目指してきました。では、藤井聡太七冠にとってのライバルは存在するのでしょうか?
この記事では、藤井聡太七冠の現在の成功と、彼のキャリアにおける「ライバル」の存在について深掘りしていきます。
史上最年少で数々のタイトルを獲得している藤井聡太さんですが、その圧倒的な実力と出世スピードから現状ではライバルと言えるライバルが不在の状況になっているとも言えます。以下にライバルがいないと考えられる3つの理由を紹介します。
藤井七冠は数々のタイトルを史上最年少で獲得し、その出世スピードは異常に早いです。全部で8つあるタイトルのうち既に7つを手にしている状況の為、タイトル争いをするようなライバルと言える棋士が不在になっているのが現状です。
かつては渡辺明九段や豊島将之九段といった棋士が藤井七冠の「天敵」とも言われていましたが、現在では彼らとの対戦成績も逆転しています。これにより、彼にとっての明確な「ライバル」と目される棋士が不在となっています。
過去には「羽生世代」というように、同世代の棋士たちが互いに高め合うことで大きな成果を上げてきました。しかし、現在のところ「藤井世代」と称されるようなグループの棋士は現れていません。
総じて、藤井七冠のライバル不在の現状は、彼の異次元の実力と出世速度に起因していると言えます。しかし、将棋界は常に新しい才能が台頭してくる場所です。今はライバル不在でも、今後、彼にとってのライバルとなり得る棋士はたくさんいます。
そこで、今後ライバルとなりそうな棋士を5人紹介したいと思います。
伊藤匠七段は、2002年10月10日生まれで、藤井七冠と同学年の将棋棋士です。
2012年1月に行われた第9回全国小学生将棋大会準決勝で、当時の伊藤匠七段と同学年の藤井聡太七冠が対局し、伊藤匠七段が勝利しています(伊藤は2位、藤井は3位)。このことから、「藤井聡太を泣かせた男」と呼ばれるようになり、ある種の因縁があります。
伊藤匠七段は2020年に17歳でプロ入りし、2021年には新人王戦を制しました。そして、2023年には竜王戦ランキング戦で2期連続昇級の規定を満たし、六段に昇段しています。
そして、2023年8月14日、竜王戦の挑戦者決定三番勝負第2局で永瀬拓矢王座に勝利して竜王挑戦を決め、同時に七段に昇段しています。本選トーナメント最底辺からの竜王挑戦は旧フォーマットのトーナメントでも達成されなかった史上初の快挙をとなり、今とても注目されている棋士の一人です。
永瀬拓矢王座は、1992年9月5日生まれの神奈川県横浜市出身の将棋棋士です。
やはり、現状唯一の藤井七冠以外のタイトル保持者としてライバル候補と言える棋士の一人です。
永瀬王座は、その緻密な計算力と独自の戦術で「永瀬流負けない将棋」として多くのファンから支持を受けています。
また、藤井七冠とは普段から練習将棋を指す仲でもあり、そのことから余計に藤井聡太七冠との対局は高い注目を集めています。二人の対局は将棋ファンにとって大きな興奮をもたらしています。
豊島将之九段は、1990年4月30日生まれの愛知県一宮市出身の将棋棋士です。
将棋棋士の強さを示すレーティングにおいて全棋士中、藤井七冠に次ぐ2位のレーティングで(2023年時)、藤井七冠のライバル候補と言える棋士の一人です。
2018年に5回目のタイトル挑戦で初タイトルとなる棋聖を獲得し、その後に王位、名人とタイトルを次々と獲得しています。そして2019年には竜王を獲得して史上4人目の竜王名人となりました。
かつては藤井七冠の天敵とされていましたが、近年では藤井七冠が大きく勝ち越しています。
大橋貴洸七段は、1992年9月22日生まれの和歌山県新宮市出身の将棋棋士です。
何と言っても公式戦で藤井七冠に何度も勝利していて、通算成績で藤井七冠から勝ち越していることから「藤井キラー」と呼ばれています。
2018年8月に第3回YAMADAチャレンジ杯で棋戦初優勝を果たし、同年10月には第8期加古川青流戦でも優勝しています。2022年の公式戦を250局以上指した棋士の勝率は全棋士中2位と非常に安定した強さを見せます。
佐々木勇気八段は、1994年8月5日生まれの埼玉県三郷市出身の将棋棋士です。
藤井七冠のプロデビュー後の連勝記録を29連勝で止めた棋士です。
2013年の加古川青流戦で優勝し、2023年には八段に昇段しています。また、2016年の将棋大賞で最多対局賞と2017年度の升田幸三賞を受賞しています。
非常に注目されている棋士の一人です。
ライバルという存在は、スポーツやゲーム、ビジネス、芸術など、あらゆる分野での成功の鍵となる要素の一つです。特に競技の世界では、ライバルとの対決が自らの能力を最大限に引き出す触媒となります。では、将棋の世界において、ライバルの存在がどのような役割を果たしているのでしょうか。
ライバルとの対局を通じて、自らの弱点や新しい戦術を学ぶことができます。また、ライバルが新しい手法や戦略を取り入れた場合、それに対抗するための新しいアプローチを模索することが求められます。
強力なライバルがいることで、常に自らの技術や知識を磨き続ける意欲が湧き上がります。また、ライバルとの対局に勝利することで得られる達成感は、さらなる成長の原動力となります。
ライバル同士の対局は、観戦者にとっても大きな魅力となります。過去の「羽生世代」のように、同世代のライバル同士の対決は、将棋界の歴史に名を刻むようなドラマを生み出すことがあります。
例えば、羽生善治九段の場合、佐藤康光九段や森内俊之九段との対局は、多くの将棋ファンにとって忘れられない名局として記憶されています。これらの対局は、羽生九段だけでなく、佐藤九段や森内九段の成長にも大きく寄与しています。
総じて、ライバルの存在は、将棋士の技術や精神的な成長を促進するだけでなく、将棋界全体の発展にも寄与しています。藤井聡太七冠のような若手の将棋士がこれからどのようなライバルと対峙するのか、その動向には目が離せません。
確かに、現状ではその圧倒的な強さから藤井聡太七冠の一強時代になっているかもしれません。しかし、将棋界は常に新しい才能が台頭してくる場所です。
伊藤匠七段、永瀬拓矢王座、豊島将之九段、大橋貴洸七段、佐々木勇気八段など、これらの棋士たちは藤井七冠との対局でいつも紙一重の熱戦を繰り広げています。彼らはそれぞれ異なる背景や実績を持ちながら、藤井七冠との対局を通じて将棋界に新しい風をもたらしています。
ファンにとっては、こういったライバルの存在こそがより対局を盛り上げる一つの要素となります。藤井聡太七冠の一強時代に果たしてこれからどんなライバルが現れるのか、非常に楽しみです。