4月よりソーシャルゲームのガチャ課金上限を5万円にする自主規制へ

スマホのソーシャルゲームに対する課金がたびたび話題となっていますが、2016年3月24日に日本オンラインゲーム協会は、「課金上限額を5万円」「当たりの確率を明示する」「アイテムの確率設定を記録に残す」といった自主規制を行う方針であることが発表されました。

日本オンラインゲーム協会が提示した自主規制内容

①ガチャで希望するアイテムを得るまでの推定総額は1回あたりの課金額の100倍まで、または上限額5万円

②アイテムは種別に当たる確率を明示

③社内に運用責任者を定めアイテムの確率設定などを記録に残す

引用元:朝日新聞デジタル

というような自主規制を行っていくようです。

ちなみにこの日本オンラインゲーム協会というのは主にオンラインゲームの開発・運営を行なう企業により2007年に設立された業界団体のことです。

基本的にはまずはここに加盟している会社に適応される自主規制になると思われます。

日本オンラインゲーム協会の会員一覧によると加盟している会社にはパズドラなどの「ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社」や、モンストなどの「株式会社ミクシィ」なども含まれているみたいですね。

逆に言うと、ここに加盟していないソーシャルゲームの会社は今後はどうなっていくのかも気になるところです。

なぜ日本オンラインゲーム協会が自主規制をしたのか?

以前より、ソーシャルゲームのガチャは規制が必要なビジネスであるという声が上がっていましたが、決定的になったのは2015年末に起きた「グラブル炎上事件」がきっかけと言えそうです。

グラブルというのはCygamesが運営する「グランブルーファンタジー」というソーシャルゲームのことです。

このゲーム内の有料ガチャにおいて「数十万円を課金しても目当てのキャラが当たらない」という報告が相次ぎ、2000人以上の人が消費者庁に苦情を提出したことで大きな事件となりました。

この事件は新聞やニュースなどでも大きく扱われ、オンラインゲーム業界全体にとってもとても注目を浴びる事件になりました。

年末年始の期間限定で当たりキャラの排出率が3%から6%にアップすると告知しておきながらも、多くの人が数十万円を課金しても当たりキャラが当たらなかったことから本当に確率がアップしているのか疑問という声が多数上がっていたようです。

このグラブル炎上事件の時系列に関しては以下でまとめられていますので詳しく知りたい人は読んでみて下さい。

問題が大きくなると「法規制」も視野に入れる必要がでてくる

ソーシャルゲームの有料ガチャに関してはこのような問題が起こるたびに「法規制が必要である」という声が上がっておりました。

一つ目の事案が、年末年始に「グラブる?」という印象的な造語で大量TVCMを投入したサイゲームズ社によるグランブルーファンタジー。ことの発端はCM投入に合わせて同ゲーム内で行われていたガチャインベントにおいて「出現率がUPする」と謳われていたレアキャラのうち一部のキャラクターの出現率が他キャラと比べて異常に下げられているという疑惑から始まったもの。これが景品表示法の定める「有利誤認」(消費者に取引条件を実際よりも有利なものと誤認させる行為)にあたるのではないか

引用元:もはや規制待ったなし!? またまたやらかしたソシャゲ業界

今回のサイゲームス「グランブルーファンタジー」のようなヒットコンテンツで、それも大量のテレビコマーシャルを投下し、ほぼ確率ゼロの景品があたかもたくさん供出されるかのように宣伝されてしまうと、これはもう当局全員が認知し振り返る状態になるわけでして、これはもう2012年コンプガチャ規制の景品表示法ガイドライン変更よりも一歩進んだ規制をしなければならないだろうという判断にならざるを得ない世界となります。

引用元:ソーシャルゲームのガチャ規制論の推移と今後の動きについて

問題が大きくなれば当然法律による規制をせざる得なくなってきます。

そうなると、それはオンラインゲーム業界全体に対して収益面はもちろん、世間の印象も決して良いことではなく、会社として大きくマイナスになります。

そこで「そうなる前になんとか手を打ちたい」というのが今回の自主規制に繋がったと考えられます。

オンラインゲーム業界としてはこの有料ガチャというのはまさに「打ち出の小づち」状態ですからね・・・

加速度的に成長してきたオンラインゲーム業界

2013年には任天堂の時価総額を越えたことで有名なガンホーなど、オンラインゲーム関連の会社は軒並み急成長を続けてきました。

ガンホー株価

これはガンホーの株価の推移ですが、2013年の上がり方はとてつもないですよね。

他にも「コロプラ」や「コーテクHD」などもほとんどが同じような推移で動いています。

これだけ急成長できる背景には「データという無在庫の商品を大量に販売することができた」ということが大きな理由としてあります。

もちろんゲームのシステムを作ったりキャラクターをデザインしたりメンテナンスをするにはそれなりにお金はかかりますが、一度完成してしまえばあとデータを複製して販売していけばいいのでほとんどが利益になるわけです。

ガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>は、10月29日、2015年12月期の第3四半期累計(1~9月)の連結業績を発表、売上高1192億1900万円(前年同期比10.2%減)、営業利益588億5800万円(同19.9%減)、経常利益590億6300万円(同18.5%減)、四半期純利益372億5100万円(同25.1%減)だった。

引用元:ソーシャルゲームインフォ

この前年よりも減っている2015年の発表でも経常利益は約50%という高さですからね。

有料ガチャというシステムがいかにビジネスとして優れているかがわかりますよね。

改めて見るとやはり凄いです。

この有料ガチャというシステムを法規制されることは、オンラインゲーム業界としてはかなりの痛手になるのは明白ですよね。

なので、今回の自主規制によって事前に手を打つというのは致命傷を負う前に素早い決断をしたのかもしれません。

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