1978年から毎年8月下旬の土曜から日曜にかけて日本テレビで生放送されている24時間テレビ。
2016年も8月27日(土)から28日(日)にかけて放送されました。
この24時間テレビでは「愛は地球を救う」というテーマのもとチャリティー番組として様々な企画にチャレンジすることで有名です。その中でも特に有名な企画として「100キロマラソン」や「障がい者のチャレンジ企画」などがあります。この辺りは24時間テレビをみたことがある方なら一度は目にしているのではないでしょうか。
そういった企画を中心にしている為、一般的には日本テレビの24時間テレビでは「障がい者に向けたチャリティー番組」のようなイメージって結構あると思います。僕も実際そこまでちゃんと番組を見たことは無いのですが、ぼんやりとそんなイメージはあります。
そんな24時間テレビが放送されている「真裏」で、NHKがかなり攻めた番組を放送したことが話題となっています。
それがこれです。
NHKが日曜夜7時から放送しているEテレの情報バラエティー番組「バリバラ」です。夜7時からの放送なので、今回放送された24時間テレビのまさにクライマックス付近での真裏の放送となります。
で、今回この番組で生放送されたテーマが「検証!『障害者×感動』の方程式」だったんです。
どんな内容か簡単に説明すると「障がい者を感動話のネタにすることに対しての問題提起」をする内容でした。
24時間テレビの真裏であえてこの内容でぶつけてくるということは、単刀直入に言うと「24時間テレビの障がい者を出演させた感動話に対する問題提起」だということです。
テレビの世界ってそういうとこ変に丸いと思ってましたが、今回のNHKは攻めましたね~。個人的にはこういうところは変に丸くなるのではなくてお互いにバンバン問題提起しまくった方がテレビ全体としても盛り上がって面白いんじゃないかな~と思います。
で、このバリバラという番組では番組冒頭からオーストラリアのジャーナリスト、故ステラ・ヤングさんの言葉を引用して「障がい者を健常者に勇気や感動を与える為の道具に使うことは感動ポルノだ」と、痛烈なメッセージで問題提起しました。
そして番組内で調査された「障がい者の感動的な番組をどう思う?」というアンケートでは…

障がい者の感動的な番組をどう思う?アンケート結果
健常者のおよそ半分、障がい者の9割が「嫌い」というアンケート結果になったことも紹介されました。
健常者が「好き」と答えた理由として
- 「障がいに負けずに頑張っている姿に勇気をもらえる」
- 「自分の幸せを再確認できる」
といった理由が番組内で紹介されました。
「自分の幸せを再確認できる」ってなんだか嫌な考え方ですね…
そして障がい者が「好き」と答えた理由として
- 「とり上げてもらえるなら感動話でもいい」
といった理由が番組内で紹介されました。
このアンケート結果からも、テレビ番組で障がい者を特別視することはどこか疑問に感じていた人が多かったんでしょうね。
こんな感じで、番組全体としては「日テレの24時間テレビみたいに障がい者を感動のネタにするのってどうなのよ?」っていう議論がされたわけです。
24時間テレビが放送されている真裏でこんな攻めた内容をするNHK……凄いです。
で、これに対してネット上では
- 「よく言った!」
- 「感動ポルノはいらない!」
- 「障がい者を感動のネタにするな!」
といった絶賛の声が比較的多く挙げられていました。
が、僕個人としてはもう少し冷静に考えるべきだと思います。
「障がい者を感動のネタにするな!」と骨髄反射的に批判するのも危うい考え
ここからは僕の個人的な意見ですが、障害者を番組に使って「問題提起がされる時点で」大なり小なり差別の意識があるのではないかと思います。
例えば今回の24時間テレビでも障がい者が富士山に登ったり、ダンスにチャレンジしたりする企画がありました。すると「障がい者を感動のネタにするな!」という声が上がります。
でも、じゃあ健常者が富士山に登ったり、ダンスにチャレンジしたりする全く同じような企画が仮にあったとしても「健常者を感動のネタにするな!」とは誰も言わないですよね。
要は、これって健常者は良くて障がい者はダメって言っているようなものなんじゃないでしょうか。これこそ差別の根本になっている気がします。
別に障がい者だろうが健常者だろうが頑張っている人は応援したくなりますし、感動もします。そこに「障がい者だから」とか「健常者だから」という違いは本来ないはずです。
なので障がい者を番組に出演させた途端に「障がい者を感動のネタにするな!」と骨髄反射的に言うのは少し違うような気がします。
むしろ「障がい者は感動のネタにしてはいけない」という考えこそが差別にならないでしょうか?
障がい者であろうが健常者であろうが感動のネタにしてもいいし、しなくてもいいんです。それはその人本人の選択と番組の作り方次第です。障がい者の中にも「自分の経験を元に多くの人に勇気や感動を与えたい」って考える人もいるかもしれません。
もちろん、番組での扱い方や演出の仕方などは色々と賛否両論あるとは思いますが、それはまた全然別の問題です。テレビの過度な演出方法なんていうのは障がい者だけじゃなくて健常者に対してだって色々と問題が起きているわけですから…
いずれにせよ、今回のバリバラは非常に意味のある問題提起になったのは間違いないですね。
今回の件に対するみんなの反応
バリバラも便乗するなら、感動ポルノ批判よりもマークに関する情報だとか、介助知識だとか、そういうのをやるべきだったのでは……とも思わんでもない。
— らたぬ@5の前にGOプレイ (@rata_touille_4) 2016年8月29日
「ある程度不幸そうな人」でないと関心が集まらない、と作家が考えているなら、その作家は無能。一般人が主役の面白いドラマや漫画はいくらでもある。 #バリバラ
— 夢より素敵な (@dokusyokano) 2016年8月29日
24時間テレビとバリバラアフターwで思うこと。
バリバラでも指摘されてたけど、感動そのものは問題ではなく、感動ポルノ化した障害者の描き方の問題なのよね。例えば、パラリンピックを観て感動するなら、それはオリンピックを観て感動するのと同じ意味で感動する人の方が多かろうから問題はない。— たかっち@ゴダイゴ9/11&ドンさん待機 (@takacchie) 2016年8月29日
毎日さんに載っていた、バリバラで「清く正しい障害者」が頑張る姿を感動の対象にすることを「感動ポルノ」と表現して批判的に扱った、との記事、考えさせられる。大事な問題だと思う
— 飯島秀明 (@hi_iijima) 2016年8月29日
バリバラ録画したけどまだ見てなくて、見る前に危惧してることを言っておくと、障害者は人を感動させるために生きている訳じゃないが、かといって差別や偽善を笑い飛ばすためにいるわけでもない。ただ生まれたから生きている。すべての人がそうであるように。
— チキささ (@c_ssk) 2016年8月29日
24時間テレビの裏でやってたバリバラすごい。
来年から24時間テレビもなんか変わるかな— 明香里 (@coco_a_11) 2016年8月29日
「バリバラ」感動ポルノの回観たけど、特に「24時間テレビ」に限ってないというか、NHKもそうした番組作りに関わってきたことを振り返ってるし、自己批判も含めて軽く問題提起してるって印象だった。「強い批判」っていう感じはあんまりしなかったな。
— 少年ブレンダ (@hibari_to_sora) 2016年8月29日
NHKのバリバラも見るけど、よく見る方がむしろ少数派であるのが現実。そんななかで、あの番組はどうやって皆が生きやすい社会にするかの試行錯誤のひとつだと捉えています。完成形ではない。それに大抵の人はこの時期だけこの問題で盛り上がりますよね。影響力が良くも悪くも大きいんでしょうね。
— Rêñ (@rotus_ac) 2016年8月29日
ダウンの子がパーフェクトヒューマン踊ったのが問題とかのトピックみたけど、あほか、と(笑)そういう事を気にしてる人がなんか可愛そうだわ。バリバラ風にいえば、そういう人が障がい者側からしたら社会の障害なんだよ、と。
あの曲が好きで踊りたかった、というだけの話じゃん。— モノ (@evifive) 2016年8月29日
NHK、ここまでやっていたとは思わなかった!
また来年もやって下さい!#バリバラ
— 堕天坂マナブ(周南お疲れ様 (@manabunogarage) 2016年8月29日
やっぱり昔と今は考え方が違うもんやな。
バリバラみたいな番組が増えたらいいのに。— りえ (@kage_to_yami) 2016年8月29日
続◆「バリバラ」は期待以上だった。何がいいって、根っこが“アンチ24時間”じゃなくて、「24時間テレビ(的なTV表現)がどうすれば改善できるか」を真剣に論じてるところ。他番組の今後をこんなに案じてる番組は、日本のテレビ史上初ではないか? #24時間テレビ #baribara
— 下村健一 (@ken1shimomura) 2016年8月29日
感動ポルノ批判は差別批判と本来イコールなはずなのに、バリバラ見ててスーっとした人の中には貧困バッシングをしてる層と重なる部分があるという事を意識しないと見誤る。「俺が見たくないものは認めない」人たちといっしょの方向に行っちゃう、それはだめだ。
— T.O.M. (@Rstudy) 2016年8月29日
当然色々な意見がありますね!
こうやってみんなが考えるきっかけになっただけでもバリバラは放送した意味があったのではないかと思います。
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