LINE MUSICやApple musicの誕生によって、あらゆるアーティストの楽曲が月額制でかなり安く聞き放題になる時代がきました。
YouTubeなどで音楽が聴けるようになってから、「CDが売れない」というのは音楽業界では問題となっていましたが、これらのサービスが更に拍車をかける存在となりましたね。
ただ、個人的にはこれは必然の流れだとも思っています。
というのも、インターネットの普及と同時に存在感を示してきたサービスは「Google」「スカイプ」「facebook」「wikipedia」など、いずれも「フリー(無料)」を上手く使いこなしていた企業であり、音楽もひとつの情報コンテンツを扱うビジネスである以上、今後は間違いなく「フリー」の波に乗らなければ生き残るのは難しくなります。
そもそもフリーって何?
念の為「フリー」というマーケティング戦略について説明しておきます。
「フリー」とは「無料」という意味で、無料のコンテンツやサービスを使うことでより大きな見返りを得るマーケティング手法のことです。
例えば、普段何気なく使用している「Google」には様々なサービスがあります。
便利な検索エンジンもそうですし、Gmailやgoogleフォト、googleマップやYouTubeなど、基本的には全て「無料」で使えていると思います。
これほどまで高クオリティのサービスを無料で提供し続けることでまず「利用者」が莫大な数になります。
そして、その利用者に対して企業が広告を打つことでgoogleに広告収入が入り、無料で提供しているサービスにかかる費用以上の大きなリターンを得ているのです。
他にも「facebook」も構造は同じです。
「まずは高品質のサービスを無料で提供⇒集まった人に対して広告を出す」というのは「フリー」戦略の王道的な手法のひとつです。
また、広告収入ではなく追加課金型のフリーも存在します。
一番わかりやすい例は「パズドラ」や「モンスト」などの「スマホ無料アプリ」です。
これらは基本的には無料で遊ぶことができるのですが、ゲーム内で追加課金をしてもらうことで大きな収益を上げているのです。
もともとのゲームは「フリー」にすることでより多くの利用者の獲得に成功しています。
また、これはネットの中だけの話でもありません。
例えば、「無料お試しサービス」とか「無料で貰えるティッシュ」とか「試供品」なども全て「フリー」の戦略をとっているのです。
まず無料で使ってもらって、その後追加課金をしたり、本サービスの契約をしたりしてもらうのです。
まず「フリー」を使うことで、より多くのリターンを得るやり方はフリー戦略の一つと言えます。
これらが「フリー」というマーケティング手法です。
インターネットが「テレビ」になる時代

インターネットはテレビやラジオ同様に多くの人に「影響」を与えられるメディアとなりました。
時間帯によってはもはやテレビよりもインターネットの方が影響力があったりもします。
フリーの代表格であるテレビやラジオは基本見るのも聞くのも無料ですが、間に入るCMによって企業から広告収入を得て大きな利益を得ています。
つまり、テレビでは「いかに高い視聴率を得られるか」がそのまま広告収入に繋がるので、多額の製作費をかけてでも視聴率の高い番組を作ろうとしているのです。
これと同じことがインターネットでも起こっていて、多額の費用をかけてでも無料のサービスを提供して「いかに多くの人に見てもらうか」「いかに多くの人に使ってもらうか」が重要なポイントとなっているのです。
今現在テレビで流れるドラマも、音楽も、映画も当たり前のように全て無料で見られますよね。
これと同じことがインターネットでも起こりつつあるのです。
「有料」を保つことが難しくなった
そしてこのような「無料のサービスやコンテンツを提供してユーザーを獲得する」というやり方をどこかの企業がやる以上、その他の企業がコンテンツ自体を有料に保つことが非常に難しくなります。
仮にgoogleが検索エンジンのサービスを有料でやったとしても、Yahooなど別の検索エンジンが無料で提供したら、ユーザーは当然無料の方へと流れていきます。
そうなると、googleもyahooなどの無料のサービスに対抗する為には無料でやらざる得なくなるのです。
まさに音楽も同じで、どこかが無料で音楽が聴けるサービスを提供したら、同じ音楽を有料で販売している所は売れなくなります。
YouTubeで無料で音楽が聴けることによって、有料のCDが売れなくなったのもこの構図です。
同じようなクオリティで無料のサービスがあるのであれば、その他の同業の有料のサービスも無料にせざる得なくなってくるのです。
では音楽業界はどうすればいいのか?

音楽というコンテンツ自体を有料で保つことが難しくなってきている以上、CDで収益を得ようとか音楽配信だけで収益を得ようという考え方では、今後生き残るのは難しくなります。
そこで必要になるのは上記で説明した「google」「facebook」「パズドラ」「モンスト」などのフリーを上手く活用した成功例を取り入れることです。
①広告収入を狙ってみる
一つ目はやはり広告収入を狙うことです。
ただ、音楽というコンテンツの特性上、広告を入れる場所がなかなかないので難しいのですが、アイデア次第で色々なやり方はできると思います。
例えば人気アーティストが「次の新曲を無料で配信します」となったらかなりの数がダウンロードされると思います。
その新曲のジャケット写真の撮影にスポンサーの商品を使ったり、ダウンロードする際の説明欄にスポンサーの広告を入れたりすることはできると思います。
これなら、そこに広告を出したいと考える企業も多くいそうな気がします。
いずれにせよ、「楽曲は無料だけど、広告収入が得られる仕組み」ができれば音楽業界もしばらくは安泰だと思います。
②「ライブ」に重点を置く
二つ目は「ライブ」に重点を置くことです。
楽曲のダウンロード自体はほとんど無料のような低価格にして、多くの人に聞いてもらう為のツールとして利用し、ライブで課金をするのです。
楽曲自体をライブにたくさんの人が来てもらう為の販促ツールとして使うのです。
これからは「実際に会う」ということの価値が大きくなる時代なので「ライブ」に力を入れるのはとても大切なことです。
AKB48が成功した例もある意味で「実際に会う(握手会含む)」という曲以外の部分への課金によるものが大きく、形式上AKB48はCDに「握手券」という負荷価値をつけた形になってますが、本質は「AKBに会う為に課金した」という構造になっています。
例えば露骨にビジネス色を強くした表現方法に変えるとすると、「CDは無料、握手会一回1000円」と追加課金をとっているのに近い感じです。
③ファンクラブなどの有料会員に誘導する
三つ目は無料の楽曲から有料のファンクラブへ誘導していくことです。
その為にはファンクラブ内のコンテンツに力を入れる必要があります。
ファンクラブ限定楽曲、イベント、グッズ、ライブなど、「誰もがファンクラブに入りたい」と思えるような質の高いコンテンツが必要です。
よくあるような「チケットが取りやすくなって、ファンクラブ会報が送られてくるだけ」みたいなのでは十分とは言えません。
もっと革新的なアイデアが必要になってくると思います。
④無料会員も募集する
4つ目は無料の楽曲から無料の会員も募集することです。
無料の会員にはメディア情報や、イベント情報などを優先的に告知したり、キャンペーンの案内などを提供してきます。
そうすることで、ライブに来てくれたり、有料会員になってくれたり、グッズを買ってくれたりする可能性が高くなります。
要するにファンを引き留めておくことができるのです。
WEBマーケティングでいうところの無料メルマガ会員と同じ原理です。
まとめ
音楽業界もやはりフリーの波には逆らえない時代になりました。
ここから生き残ることができるのはどんな形にせよ「フリー」を上手く活用した企業になることは間違いありません。
音楽をフリーにして、別のどこからキャッシュを得ることができるか色々なことを試していく必要がありそうです。
僕自身音楽は大好きで、音楽業界が盛り上がってほしいと心から思っていますが、その為には時代に合った柔軟な発想が絶対に必要になってくると思ってます。
いつまでもCDにこだわっていたり、無料で配信される音楽に拒絶反応をしていては必ず取り残されていきます。
音楽業界にとっては非常に重要な時代の転換期が来ているのではないでしょうか。
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