ゴディバジャパン代表取締役社長のジェローム・シュシャン氏の著書「ターゲット」を読みました。
ゴディバが5年間で売り上げを2倍にした方法について社長自らが解説してくれる本なのですが、何よりもジェローム・シュシャン氏の仕事に対する考え方が素晴らしく、どんな仕事をしている人にとっても参考になる本です。
著者のジェローム・シュシャンとはどんな人物か
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1961年フランス、パリ生まれ。
HEC Paris経営大学院卒業。
1983年、大学在学中に旅行で初来日したのを機に日本文化に興味を持ち、29歳で弓道を始める。
フランス国立造幣局、ラコステ北アジアディレクター、LVMHグループ・ヘネシーのディレクター、リヤドロジャパン代表取締役社長などを経て、2010年ゴディバジャパン代表取締役社長に就任。
商品のパッケージに世界の有名アーティストを起用、テレビCMなど、様々な施策により5年間で売上2倍を達成。
2010年国際弓道連盟理事就任、2013年弓道錬士五段取得。
ゴディバはなぜ売上2倍を5年間で達成したのか?

この本は基本的にはゴディバが5年間で売り上げを2倍にするまでにしてきた「ビジネスに対する考え方」「経営戦略」「具体的な方法」などが学べる本です。
2016年には創業90周年となったゴディバですが、ここまでの老舗ブランドをわずか5年で売り上げを2倍にするというのはとんでもないことだと思います。
立ちあげたばかりの企業であれば5年で売上が2倍になることはありそうですが、1926年創業(日本では1972年から)の老舗ブランドの売り上げが2倍になるのは尋常なことではありません。
老舗ブランドの場合は既にブランドイメージも世間にある程度認知されているし、商品も大きく変化するわけではありません。
そんな中で「どのようにして売り上げを2倍にしたのか?」という部分はどんなビジネスをする人にも大変参考になると思います。
仕事をする上で本質的に大切なことが至る所に書かれています。
「正射必中」のビジネス論

特にこの本が面白いのはビジネスを「弓道」に例えて説明してくれるところです。
著者のジェローム・シュシャン氏は弓道錬士五段を取得するほどの腕前で、ビジネスだけでなく弓道家としても一流という方です。
ビジネスを弓道に例えて説明してくれるのが日本人にはとてもわかりやすく非常に読みやすいです。
本書の中で「正射必中」という言葉がでてきます。
これは弓道の言葉で「正しく射られた矢は、必ず的に当たる」という意味です。
ジェローム・シュシャン氏はこの弓道の言葉をビジネスに置き換えると「お客様のことを本当に考えてよい商品を作れば、結果は必ずついてくる」という意味になると説明しています。
「的に当てる」のではなく「的に当たる」、「商品を売る」のではなく「商品が売れる」という考え方が大切になるとのことです。
何でもそうですが、こちらから売ろう売ろうとするとお客さんは少し引いてしまいますが、本当に良いものをしっかり提供していけばお客さんの方から「売ってほしい」と来るということですね。
「仕事が上手くいかない」「結果が思わしくない」なら読む価値あり

この本はゴディバが売上を上げる為に具体的にやってきたことももちろん書かれていますが、それ以上に仕事に対する考え方や姿勢について大変多くの学びがある本です。
売上を目標にせず、「お客様に喜んでもらう」「スタッフが働きやすい環境にしてあげる」「皆がハッピーになれる環境を作ってあげる」といったことが、結果的に売上アップに繋がっているのがこのゴディバの成功事例からよくわかります。
お客様もスタッフも全ての「人を大切にする」という姿勢がそのまま結果にも表れているような気がします。
現状「仕事がうまくいかない」「結果が思わしくない」という悩みを持っている人も、一旦売上や結果というものを忘れて、目の前の人に喜んでもらうことを考えると、結果的には高いパフォーマンスを発揮できるかもしれません。
また、フランス人社長だからこそ見える「日本人が本来持つ強み」や「日本の良さ」なども独自の視点で解説してくれます。
これは日本の中だけにいると、意外と気がつきにくい部分だったりします。
そういった新しい発見や考え方も学べるので、結果ばかりを追い過ぎて逆に空回りをしてしまっている人は読む価値ありです。
人生を楽しくする仕事の仕方

ということで、単純にゴディバがなぜ5年間で売り上げを2倍にすることができたのかを知りたい人はもちろんですが、今の仕事をもっと楽しくしたいと思っている人、今のビジネスを成功させたいと思っている人は是非読んでみて下さい。
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